電車の中で
ケンカかなと思ったら、バタバタ走ってきて「すいません、どなたかティッシュ持ってますか?友達が具合悪くなっちゃったんです、よろしくお願いします」といって何度も頭を下げてまわるのです。
そして手分けして集めたティッシュで友達が吐いてしまった車内の床を拭き始めました。金髪で厚化粧な子達でしたけど、電車を降りる時に「さっきはありがとうございました」と声をかけられて、とてもすがすがしい気持ちになりました。
(ゆまゆま/女/30歳)
傘
数歩足を進めたところで突然ガツン!と音がして、驚いて振り向くと、私と子供の傘を持った若者がドアに挟まれています。もちろんすぐにドアは開いて、私は急いで傘を受け取りお礼を言いました。その方は笑顔で手を挙げてくれましたが、少し腕を擦りむいていました。
衆人の前で恥ずかしかっただろうし、痛かっただろうと思います。ろくにお礼も言えなくて後悔しています…。あのときはどうもありがとうございました。
(よしこ/女/30歳)
お姉さん
外灯もなく本当に心細かった時に、お姉さんのその言葉がとても嬉しかったことを今でも覚えています。両親が共働きで鍵っ子だったので、家に帰るとお菓子代が置いてあるのが常でした。その日は先に帰った兄が、私の分のあめ玉も買っておいてくれたことも覚えています。
もう10年以上たっていますが、18歳になった今でも、私はあの中学生のお姉さんよりも子供のように思います。それほどあの夜のお姉さんの存在は、私にとって大きなものでした。
(ひのき/女/18歳)
つき合えて良かった
そのときは本当に申し訳なくて少し泣いてしまいました。そのとき彼女が何も言わず、ただ抱きしめてくれて頭を撫でてくれたのが今でも忘れられません。
彼女はその2ヶ月後に事故で逝ってしまいました。彼女と最後まですることはできませんでしたが、僕の初めての相手は彼女だと思っています。
(kaz/男/18歳)