- 仕 事1 -

せつないよ


肺癌をわずらっていた彼女。自分の病気をうけとめて入院生活をくり返していました。身のまわりの世話をする息子さんを気づかい、よく新人の私たちを励ましてくれました。

自分の体の自由がきかずに具合が悪くなっても、いつも他の人のことを気づかっていました。死期が近づいているのを知ってか「天国で見守ってるからね」というのです。

彼女の最期の姿がいまでも忘れられません。そして、私にいってくれた「本当に看護婦さんになりたくてなった人なんだね、って話してたんだよ」という言葉を胸に今もがんばってます。

(雪花/女/29歳)

モドル

ラーメン屋のおばちゃん


とあるラーメン屋に初めて入ったときのことです。注文してカウンターでボーッと待っていました。するとアルバイトらしい男の子がどんぶりを割ってしまいました。

あ〜あ、ここの器は著名な陶芸家が作った高価な器だと書いてあるのに・・・。そんなことを思っていると、店主らしいおばさんがこう言いました。「怪我ない?やけどしてない?冷やして早く早く!」

このおばさんいい人だなって思いました。一言も彼をしかることなく、怪我の心配のみをしたのです。この店にまた来ようと思った瞬間でもありました。

(AKI/男/25歳)

モドル

気づかなかった優しさ


アルバイト先で、忙しくてイライラしている上司にイチャモンをつけられて、あたられた。なぜ私だけが・・・と思った。

そのとき、口がわるくて性格があわないと思っていた二人のおばさんが、それぞれに泣いている私のところに来てなぐさめてくれた。

家に帰ると母は「そんな所やめていいよ」といい、いつもあまり話さない兄はごはんを作ってくれた。気がついていないだけで、私はなんて大きな優しさに包まれているんだろうと思った。

(さえ/女/20歳)

モドル

先生のやさしさ


私は私立の中学に通っており、いつも授業中にマンガを読んでいました。それまではいちども見つかったことはなかったのですが、ある日とうとうバレてしまい、親まで学校に呼び出されました。

その日から私は、いつも学校をやめようと思っていました。でも担任の先生の授業中に、使ったプリントが返却されてきました。するとそこには「先生はお前を信じています」という言葉が書かれていました。

わたしは休み時間に1人で泣きました。今でも先生のやさしさが忘れられません。

(ポパイ/女/23歳)

モドル

二つのデパート


東京の池袋には東武デパートと西武デパートがあり、ライバル関係でしのぎを削っている。

ある日、東武デパートの文房具売り場に行ったとき、欲しいものが品切れだった。すると店員さんが、西武さんに聞いてみますとライバル関係のデパートへすぐに電話をかけて問い合わせてくれた。

あいにく西武デパートにも品物はなかった。店員さんはとても申し訳なさそうに何度も謝ってくれた。その店員さんはもういないが、それ以後ずっと東武デパートが私のお気に入りになっている。

(会社経営/男/56歳)

モドル

笑顔の力


近所のコンビニに太った女のバイトがはいった。無愛想で、しかめっつら、しかも商品のあつかいは乱暴だった。

会うたびに不愉快になったが、ある時から彼女が変わりだした。表情がおだやかになり、ありがとうございましたと微笑むようになったのだ。

何が彼女を変えたのかは知らない。でも笑顔の力は不思議だ。以前はこのデブ!といつも心の中でののしっていたが、今ではすっかりファンになってしまった。

(学生/21/男歳)

モドル

笑顔


僕はもともと笑い顔だ。小学生の時には担任から「人が真面目な話をしている時に笑うな」と真剣に聞いてたのに怒られた。ある日職場で「あの笑顔の奥で何を考えているのか分からない、気持ち悪い」と言われているのを偶然聞いてしまった。

密かに想いを寄せていた相手だっただけに、衝撃は大きかった。そして僕の笑顔は不自然になり、笑うことが怖くなって常にしかめっ面でうつむきがちの毎日が続いた。

そんなある日「君の笑顔は僕の元気だファイト♪」とさりげなく、本当にさりげなく、聞き逃してしまうくらいの小さな声で、誰かが某CMの曲に乗せて応援してくれた。思わず顔を上げると、バイトで来ている事務の子が顔を赤らめてうつむいていた。そして今、僕はその子と付き合っている。

(つるべぇ/男/26歳)

モドル

無言のあたたかさ


新入社員の頃、いっぱしに仕事で突っ走っていました。でもちょっとした雑用を頼める人はもちろんいませんでした。締め切り前日の終電間際、私は会議室にこもってバタバタと雑用をしていました。

すると10年以上うえの先輩が入ってきて「俺は雑だからな、綺麗にできないんだよね。これ同じようにやれば良いんだろ。」と言って目の前に座り、黙々とその作業を手伝ってくれました。

私は泣きながらその作業を続けました。今私が仕事を続けていられるのは、あの時の優しさがあったからだと思います。ありがとうございました。

(ようこ/女/30歳)

モドル

千円の気持ち


彼のバイトする本屋で、新人が入力ミスをしました。そして閉店業務をする彼が、千円の帳尻合わせをしなければならなかったそうです。

彼は自分の財布から千円をレジに入れたそうです、もちろん返ってこないのに。「いい人すぎる」と怒る私に彼は「自分も新人の時にミスをした。きっと誰かが同じようにしてくれていたかもしれない」と言いました。

そういう彼の姿勢を素敵だなと思いました。そして自分の発言がちょっと恥ずかしかったです。

(村人/女/21歳)

モドル


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