イブのルミナリエ
言葉は通じにくくても、おばさんは嫌な顔ひとつせずに教えてくれ、私たちは無事にルミナリエを見ることができました。
騒々しいイブの夜、街の片隅で道を教えてくれたおばさんは、ほっとするような笑顔と声でした。あの時はお礼を言うこともままなりませんでした。おばさんどうもありがとう。
(方向音痴の男/男/41歳)
雨の日
診察が終わった時、外はどしゃぶりの雨でした。松葉杖を使うことになったのですが、それでは手提げカバンを持って傘をさせず、立ち往生していました。
すると品の良さそうなおばさまが「傘、さしましょうか?」と声をかけてくれ、会社の前までさし続けてくれました。その間、おばさまの肩は傘から出てビショぬれでした。本当に嬉しかったです・・・。
(ミヤコ/女/21歳)
見ず知らずのお姉さん
すると近くを歩いていた小学生のお姉さんが、私を助け起こしてくれました。「なんか優しいことしてるやん」と一緒にいた友達に茶化されていましたが、「私も助けてもらったことあるから」と言い「大丈夫?」と私を気遣ってくれました。
自分もしてもらったことがあるからといって、それを行動にうつした彼女。15年以上たっていても今だに時々思い出します。そして、なりたい願望ばかりの私は実際に行動にうつせているのだろうかと、いつも自分自身をふり返ります・・・。
(なりたい願望/女/25歳)
そういえば
ある風の強い日、私は風の勢いで玄関の鉄の扉に指をはさまれて、爪がはがれてしまいました。血がダラダラ出てワンワン泣いていたら、そのお姉さんが通りかかり、ひたすら泣くだけの私を祖母の元に連れて行ってくれました。
スカートを引きずり、頭は鳥の巣のようにチリチリでした。中学校の職員室で一人きりの卒業式を迎えた彼女。本当はやさしい人でした。あの時はどうもありがとう。
(けろ/女/30歳)
ある冬の日に
迷ったすえ、会社帰りのOL風の女性に道をたずねました。「あっちです」とすぐ指をさして教えてくれました。
お礼を言って5分ほど歩いた頃、「すみませーん、道まちがえましたー」とかなりの距離を走って、もう一度道を教えにきてくれました。とても寒かった日の温かい思い出です。
(会社員/男/42歳)
満開のさくら
僕は百年に一度の勇気をだして桜を見に誘った。まだ寒かったが、彼女は川沿いの桜並木を小1時間いっしょに歩いてくれた。
その後の彼女からの手紙で、すでに大切なひとがいることを知った。間もなく彼女は入院し、そして二度と会えなくなった。彼女は本当に貴重な人生の時間を僕に分けてくれたのだった。
(700本の桜/男/25歳)
微笑
演奏の休憩中のトイレは大混雑。手を洗っていると、隣の蛇口から水が出っ放しでした。でもすぐ横にはおば様方がズラッと並んでいて善行をするのが気恥ずかしいかんじ。
でもコッソリ目立たぬように蛇口をしめて立ち去ろうとしたら、品の良いおば様がニッコリと微笑んでくれました。なんとなく私もおば様もイイ気分になれました。
(いぶ/女/25歳)
優しいからなんだよ
先日も彼女は、障害のある人に話しかけられていました。そのあと「どうしていつも私ばかりなの」と言って、深刻に悩んでいる事実を打ち明けられました。
いま私は看護婦です。そして今だから分かるけれど、彼女が優しい人だから障害のある人が近くにくるのだと思います。絶対とは言えないけれど、優しくない普通の人にはあまり近づけないから。
(てこちん/女/25歳)
コンビニの袋
女の人がコンビニの袋を持って戻ってきました。そのとき私に声をかけてくれました。「大丈夫?気分悪い?」「いえ、大丈夫です、人を待っているだけです」女の人は袋からチョコレートと手袋をくれました。
その後5分ほど喋り、温かいジュースも買ってくれました。彼のことで精神的に滅入っていたこともあり、女の人が去ったあと涙が出てきました。本当にありがとうございました。
(失恋者/女/16歳)
ありがとう
その方のご主人が帰宅の途中に私の姿を見たらしく、傘を持っていってあげた方がいいかも…と言ってくれたようです。その女性は近所の方で、私の作業が終わるまでずっと傘をさしていてくれました。
名前を伺っても「名乗るほどではない」と教えてもらえませんでした。そのご主人と奥さんに、お礼できなかったのが心残りです。私は一生忘れないと思います。ありがとうございました。
(ロマエゴ/女/24歳)